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ネズの木(グリム童話) [本]


M・エンデが読んだ本

M・エンデが読んだ本

  • 作者: ミヒャエル・エンデ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1996/12
  • メディア: 単行本



モモやネヴァーエンディングストーリーの作者、ミヒャエル・エンデの好きな小品のアンソロジー。
さすがエンデって感じの、美しく繊細で風変わりな作品がたくさん。

中でも印象的だったのが「ねずの木の話」。
グリム童話だそうですが、初めて読みました。



***あらすじ***

継母に嫌われた男の子が殺される。
さらに継母は証拠隠滅のため、男の子を料理して父親に食べさせる。
父親はそうとしらず、美味しいと食べ、
骨をテーブルの下に捨てる。
妹は泣きながら骨を拾い集めて、ねずの木の下に埋める。
するとねずの木から美しい鳥がでてきた。

鳥は町を飛びながら、美しい歌(かなり変な歌詞だと思うが)を歌う。
歌を聞いた人々がもっと聴きたがると、
鳥は代価を要求。
金の鎖、赤い靴、石臼をもらい家に向かう。
(鳥が石臼なんて持てるんか?というつっこみはこのさい無し)

美しい歌を父親、妹はめでるが母親は恐怖にふるえる。
外に出た父親には鎖、妹には靴、
母親には石臼が落とされ、母親は絶命。
鳥は男の子に姿をかえ、父親、妹と3人で幸せに家に戻る。

*********

「母さん、ぼくを殺し、
 父さん、ぼくを食べ、
 妹のマルレーンが、
 ぼくの骨を残らず捜し、
 絹の布にくるんで、
 ねずの木のしたに置いた。
 キウィーッ、キウィーッ、ぼくって、なんてきれいな鳥なんだ」

お話にでてくる鳥がうたった歌、
マザーグースのこちらにそっくり。
(テーブルの下がちょっとにぎやかですが)

おかあさまがわたしをころした

おかあさまがわたしをころした
おとうさまはわたしをたべてる
にいさんねえさんおとうといもうと
テーブルのしたでほねをひろって
つめたいいしのおはかにうめる
(谷川俊太郎訳)

My mother had killed me

My mother had killed me,
My father is eating me,
My brother and sisters sit under the table,
Picking up my bones,
And they bury them under the cold marble stones.

マザーグースの歌を初めて読んだときも背筋が震えましたが、
イギリスの古いお話だと思っていました。
それがグリム童話とこんなに近くてビックリ。
イギリスが先かドイツが先かはわからないのですが、
何百年も前に、共有していたお話なのですね。
ヨーロッパはやっぱり文化的にとっても近いのね。。


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コメント 9

旅人

なかなか残酷な童話ですよね
教訓もここまで書かなくては
ならないのかと思ってしまいますね
赤ずきんちゃんも狼のお腹をさいて
助け出すとか幸福の王子も王子本人は
あまり幸福ではなくて・・・
でも最後はハッピーになってほっと
しますね
by 旅人 (2008-10-20 18:07) 

extraway

隠喩。源を辿れそうな。色々とでてくるでしょうね。
あちらから、そちらから。
by extraway (2008-10-20 22:45) 

MARI

グリム童話は文庫で5冊持っていました。
でもこのお話しは初めて。
美しくて恐ろしい話というのは、どこか人を惹きつける
ところがありますね。
ホラーは苦手だけど、案外グリム童話は平気。
不思議です。
by MARI (2008-10-21 13:33) 

duke

うむ~恐いですね・・。罪なお母さんです。本自体は興味あります!
by duke (2008-10-22 00:06) 

ぶーけ

旅人さん、
本当は残酷なグリム童話、なんて本がありましたが、そのものです。
ハッピーエンドも疑問符が付く感じで、ほろ苦いですね。

extrawayさん、
ほんと、あれこれ辿ると面白そうです。源はどこなんでしょう?

MARIさん、
私もグリム童話を何冊も読んでますがこれは初めて。
日本のアンソロジーにはあんまりはいってないのな?
グリム童話のホラーはいわゆるホラーとは違う何か、なんですよね、きっと。

dukeさん、
怖いです~。
エンデの選んだ小説はどれも素敵で、お話だけだったら、もっと素敵なのがたくさんありました。
読んでみて下さいね。^^
by ぶーけ (2008-10-24 12:08) 

sknys

ぶーけさん、こんばんは。
『マザー・グース』(講談社 1981)の解説に、
《民話の世界から童謡集へ紛れ込んだ唄。
残酷な継母に殺された男の子(あるいは女の子)の骨が鳥に変じて
歌う唄が原型》とあります。

ロアルド・ダールの処女作に「オレンジとレモン」の唄が出て来る。
『ヘンリー・シュガーのわくわくする話』(評論社 1979)に
収録されていますが、
全集版の柳瀬訳は「通りゃんせ」になってしまった!

グリム童話は鳥〜少年の変身イメージがファンタスティックですね。
ラストで石臼が留めを刺すところは「さるかに合戦」みたい^^
未見ですが、Bjorkが20歳の時に主演した映画
『「ねずの木」〜グリム童話より』もDVD化されています。
by sknys (2008-11-03 20:15) 

ぶーけ

sknysさん、こんにちは。
講談社のマザーグースの解説にはちゃんと書いてあるんですね。
そのものですね!
民話から、ってグリムよりももっと前からかしら。。

「通りゃんせ」は笑いました。きっと立ち位置の似たものを考えたのでしょうね。それにしても。。(笑)

「ねずの木」、映画化されてるんですね。
主演がBjork・・・う~ん、微妙。。^^;
by ぶーけ (2008-11-05 14:14) 

ミルメイク

今日始めてこの話を読みました。ホラーではないんですけど、背筋がゾクッとしました。なかなか深い話だと想います。
by ミルメイク (2009-09-06 15:14) 

ぶーけ

ホラーよりも怖いかもしれませんね。
民話ってすごいですね。

by ぶーけ (2009-09-09 13:24) 

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