銃・病原菌・鉄 １万３０００年にわたる人類史の謎 [本]
- 作者: ジャレド ダイアモンド
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2000/09
- メディア: 単行本
- 作者: ジャレド ダイアモンド
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2000/09
- メディア: 単行本
人類がどのように文明を発達させてきたのか？
ニューギニア人ヤリの「あなた方白人は、たくさんのものを発達させてニューギニアに持ち込んだが、
私たちニューギニア人には自分たちのものといえるものはほとんどない。それはなぜだろうか？」
という問いかけに対する、ジャレド・ダイヤモンド氏による回答の試み。
世界の富や技術の不均衡の原因は何なのか？
端的にいえば、偶然。
偶然によって起こった文明の発達の差がかくも大きな差を生み、
持てるものと持たざるものを作り出し、ある国が他の国や地域を征服する結果となったのは
驚きでしたが非常にわかりやすく、納得できることでした。。
日本史よりも、世界史よりも、こういう文明史を世界の小学校で教えてくれれば、
地球市民として、人間はみんな同じなんだ、というのがよく理解できるのではないでしょうか？
人類史としてみると、たまたま占領して所有している土地、身分や国家への忠誠なんて、
小さな小さなことですよね？
歴史の本を読んでると、敵対する民族やら国やら部族やらを滅ぼして、
その後、王として君臨する一族は、ともすると殺戮者の末裔だったりして、切なくなるのですけど、
（特に戦国時代）その全世界バージョンみたい。
勝利の原因の一番の源が「偶然」というのは皮肉ですね。
あらすじ、というか覚書・・・・
最初に農業が発達した地域は肥沃三日月地帯でしたが、
そこには偶然栽培可能な植物と、家畜化可能な大型獣が生息していた。
収穫が増え、定住がすすむと、農業や狩猟採集以外の専従の人々を養えるようになり、
やがて村が発展し首長があらわれ、さらには国家へと発展する。
人口が多ければその分発明は多くなり、社会は益々発展する。
農業が発達した地域での人々がすぐれていたわけではない。
栽培可能な植物があったので農業が始まり、家畜化可能な動物がいたので、家畜が生まれた。
そういう植物や動物に不幸にして恵まれなかった土地もある。
たまたま近くに栽培可能な植物があり、家畜化可能な動物がいたため、定住して農業を営み、
人口が増え、動物と暮らす中、動物由来の病原菌に対しても、次第に耐性を持つようになる。
（人口が多いと文明も発達するが、病原菌も増えやすい。）
また東西に長いユーラシア大陸では栽培可能な植物が同じため、文化の伝播が容易で、
各地で文明が栄え、交流によって、より早い発展が促された。
南北アメリカ、アフリカ大陸は南北に長いため、気候がかわり、栽培作物の伝播は容易ではなかった。
いくつか文明も育ったがそれらはすべて孤立していた。（そのため発展速度が遅い）
圧倒的な技術力の差で、ヨーロッパの白人がアメリカ先住民、アフリカの部族たちを征服できたのは、
両者が出合った時、ひとえに偶然の重なりの結果、白人のほうがより進んだ文明をもっていたから。
鉄に銃、それに病原菌。
戦争よりも、ヨーロッパから持ち込まれた病原菌によって、耐性をもたない
アメリカの原住民たち（家畜化できる動物がいなかったため、動物由来の病原菌への耐性がない）
が多く絶滅した、というのは、恐ろしいことです。
人類が各地に広がり、それぞれの地で生活していく中で、
たまたま恵まれて、早く農業生産を始めた民族が技術を発展させていったのが、今の先進国。
人種としてすぐれていたわけではなく、偶然の産物だったのです。
・・・・・・・・
覚書、間違ってたらm(__)m
でも凄く面白いので、お勧め♪
今日、新聞で、インドのある村に設置された
古い1台のパソコンが、その村に富をもたらした、
という記事を読みました。
それまで言い値で売っていた農作物の適正価格を、
ネットで知る事ができたからだそうです。
先進国が生み出した情報や技術が、グローバル化の中で
どう広がっていくのかという現代もまた、未来の人にとっては
興味深い歴史となるのかな、なんて思いました。
by MARI (2007-01-11 12:30)
いいお話ですね。今世界のあり方は、以前とは色々変わってきてますよね。技術＋時差のない情報、で、これからどう変わるのか、面白いですね。いい方向に変わるといいけど。(^^)
by ぶーけ (2007-01-11 20:27)