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亀になりたかったライオン(創作童話) [創作童話]

なんとなっく、童話書いてみました。
お暇だったら読んでみてくださいね。^^

「亀になりたかったライオン」

ライオンのレオくんは お父さんとお母さんと、サバンナでくらしていました。

サバンナは広くて、草がたくさんあって、いろんな動物がいるところです。

まだ小さいレオくんは 池にお散歩に行くのが好きでした。


ある日、レオくんは池のほとりで、大きな亀さんにあいました。

亀さんはレオくんをみるとにっこり笑って、こんにちは、と言いました。

レオくんも、こんにちは、と言いました。

レオくんはしばらく水遊びをして、お家に帰りました。


翌日、池にいくと、また亀さんが日向ぼっこをしていました。

レオくんは亀さんにご挨拶して、それから、

ここで何してるの?と聞きました。

亀さんは、日向ぼっこだよ。気持ちいいよ。と教えてくれました。

レオくんは真似して見ました。

本当だ、気持ちいいね。

それから、毎日、レオくんは亀さんと一緒にひなたぼっこをしました。


ある日、シマウマさんがお水を飲みにやってきました。

シマウマさんはレオくんをみて、びっくりしたけど、

レオくんはまた小さいし、亀さんと日向ぼっこをしている姿がかわいくて、

こんにちは、と言いました。

レオくんも、こんにちは、と言いました。

僕たちね、ひなたぼっこしてるんだ、気持ちいいよ、とレオくんは言いました。

シマウマさんは、にっこり笑って、

気持ち良さそうだね、でも、僕はいかなくちゃ、と言いました。


シマウマさんは翌日もやってきました。

レオくんはシマウマさんとも仲良しになりました。

シマウマさんは物知りで、色んなお話をしてくれました。


でも、ある日、ライオンのお父さんがやってきました。

シマウマさんはお父さんの姿をみるとあわてて逃げ出しました。

レオくんはびっくりして、お父さんは優しいよ、と言いかけましたが、

その瞬間、お父さんはシマウマさんに襲いかかりました。


その日、レオくんのお家の晩御飯はシマウマさんでした。

レオくんは一口も食べられませんでした。


次の日、レオくんはまた池に行きました。

いつものようにひなたぼっこをしている亀さんをみて、

レオくんは泣きだしてしまいました。

亀さんは「しかたがないことなんだよ。」

と慰めてくれましたが、レオくんはいっそう悲しくなりました。

僕も亀さんだったらよかったのに。


レオくんはそれから1週間、何も食べませんでした。

段々やせて弱っていく姿をみて、亀さんは心配でした。

いきものなんだからね、食べなくちゃいけないんだよ。

君は悪くないよ。

お父さんも悪くない。

誰も悪くないんだ。


その日、お母さんがお肉をもってきてくれました。

そして、これはシマウマさんのじゃないから、と言いました。

レオくんは食べまいとしましたが、おいしそうな匂い。

お腹ぺこぺこのレオくんは思わず、食いついてしまいました。

レオ君は泣きました。


時が過ぎ、レオくんはタテガミも生え揃い、りっぱなライオンになりました。

狩も上手になりました。

でも、レオくんはシマウマだけは決して食べようとしませんでした。

いまでもレオくんは亀さんと日向ぼっこをします。

平和な時間に、レオくんは今度は亀さんに生まれたいな、と思うのでした。


                おわり



おまけ
bouquet1.jpg


この夏、薔薇さんたちはがんばりました。
ひらひらして、花びら少な目の可憐な薔薇さんたちも大好きです。^^



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コメント 4

sknys

「ネコなのにライオン」という記事を書いたばかりだったので、
興味深く拝読しました。
リンダ・ヴォルフスグルーバーの『ねこだけどライオン』は
百獣の王のポスターに心を奪われた飼いネコのレオが「ライオン」になって、
街から出て行く話。
清水玲子の『WILD CATS』は「飼いネコ」として育った雌ライオンの物語。
ライオンになりたかったネコやネコになりたかったライオンがいるのだから、
亀になりたいライオンがいても不思議ではありません。
by sknys (2016-09-15 01:15) 

ちぃ★

悲しいお話ですね。

それでも食べなければ生きていけない現実を突きつけられてしまうのですね。。。
by ちぃ★ (2016-09-16 20:21) 

extraway

童話を拝読することになるとは思いませんでしたが、表現したいこと、伝えたいことを託せる手段のひとつ、としてのことを思います。語る対象やシチュエーションをイメージして、仕上げるものなんでしょうね、作品にする方たちは。ぶーけさんもむづかしいことをとりあげられていると思うんですが、思い出したのは、以前ある獣医でもある人の詩を読んだ時のことですね。獣医としては牛や豚等も、身近に接することのある命ある対象。深い思いもある。その一方でそのステーキなどを美味な好物として食している自分もいるという、説明のしがたい現実。心の問題。表立っては見えない、人間の残酷でさえあるエゴ。等々。苦いことは、色々と出てきますね。
by extraway (2016-09-19 17:51) 

ぶーけ

sknysさん、
読んでくださってありがとうございます。^^
清水玲子のお話しは昔読みました。
ライオンと猫、違いは大きさですけど、その違いは大きいですね。

ちぃさん、
読んでくださってありがとうございます。^^
生きていくのは悲しいことだと思います。
食べずに生きていけませんものね。

extrawayさん、
イグリンには、どうしちゃったの?と言われました。
自分でもよくわかりません。^^;
「食べる」というのは何かの命を奪うことなので、考え出すと複雑ですね。獣医さんは特に直面するかも。
でも書くのがなんだか楽しくて、あれこれお話し考えてます。^^

by ぶーけ (2016-09-21 13:44) 

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